【イベントレポート】シード・アーリー期のスタートアップを対象にしたピッチイベント「Meetup Session(ミートアップセッション)」

2021.12.01

デロイト トーマツ ベンチャーサポート(DTVS)は10月28日、シード・アーリー期のスタートアップを対象にしたピッチイベント「Meetup Session(ミートアップセッション)」をTOKYO UPGRADE SQUAREで開催した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を受けてオンライン開催を続けているが、実際に会場を利用するのは約1年8カ月ぶり。4社が参加し、各社の代表はベンチャーキャピタル(VC)のメンターらから、資金調達や採用の進め方などに関するアドバイスを受けた。

フィードバックを重視し成長につなげる

一般的なピッチイベントは発表者側の一方通行になっている傾向がみられる。これに対してMeetup Sessionでは、メンターによる様々な観点に基づいたフィードバックを重視。参加したスタートアップの事業支援を図り、成長につなげていくことを目的として掲げている。

今回は最先端エネルギーからソーシャルビジネスに至るまで、幅広い領域から4社が登壇した。EX-Fusion(イクスフュージョン、松尾一輝代表取締役、大阪市中央区)は次世代の安定供給電源として期待されている核融合の研究を進めており、コスト抑制につながるレーザー型商用炉の実現を目指している。インパクトサークル(高橋智志社長、東京都港区)が提供しているのは、投資による社会インパクトを可視化したプラットフォーム。投資額によって「何人に教育機会を創出したか」といった点を把握できるため、社会貢献を実感しやすくなる。

quintet(クインテット、小守谷直毅代表取締役、東京都港区)は、オンライン会議システムのZoomなどと連携させ、議事録を効率的に作成・共有できるサービスを提供している。アグクル(東京都品川区、小泉泰英代表取締役)は農薬化学肥料を使っていない米麹を使用し、発酵と食物繊維を組み合わせたブランドを展開。オンラインでグラノーラの販売を開始した。

採用戦略などについてアドバイス

Meetup Sessionでは各社が5分間のピッチを行った後、VC、大手メディア、DTVSメンバー(2組)から15分ずつのフィードバックを受けた。アグクルの小泉代表はイベントに参加して「『どういった社会を作りたいのか』といった本質的な部分をしっかりと考えていくことが、会社を成長させる上で重要」ということを、改めて認識したそうだ。

メンターとして参加したジャフコグループの長岡達弥氏は各社の関心が高かった採用戦略について、「トップの考えに100%共感するメンバーを徐々に増やしていけば自然にすそ野が広がってくる。その上で共通のビジョンを策定すれば、国境に関係なく人が集まってくる」と投資先の事例を引き合いに出しながら、今後の進め方をアドバイスした。

イベントの最後にDTVSの斎藤祐馬社長が「起業家は『この人を応援したら社会がよくなるな』と思わせて一瞬でファンを作る必要がある。そうすれば、どこかの時点で売り上げが伸びてくる。10年続ければ時代がついてくるので、それに向けた覚悟が必要だ」と起業家としての心構えを説いた。