COVID-19で難しくなった住民同士の交流を地域SNSで支援 地域SNS「ピアッザ」
2021.12.27
- 官公庁と連携したスタートアップ
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地域SNS「ピアッザ」を提供する
PIAZZA
- 連携先の行政機関
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東京都区部や横浜市など、
現段階での協定先は
約50の自治体に及ぶ
- 行政機関側の課題
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COVID-19で地域内交流が
難しくなっている
米国では地域コミュニティをデジタルで形成するという動きが顕在化しており、ネクストドアなど地域SNS(交流サイト)事業を展開する企業の存在感も高まっている。その日本版ともいえるベンチャー企業がPIAZZA(ピアッザ)だ。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によって地域コミュニティのさらなる希薄化が指摘される中、地域SNS「ピアッザ」の機能が評価され、東京都中央区や横浜市青葉区など約50の自治体との間で協定を締結。住民同士のつながりを支援している。
- 官公庁と連携したスタートアップ地域SNS「ピアッザ」を提供するPIAZZA(東京都中央区)
- PIAZZAが掲げるミッションは、地域の住民同士やそこで働くひとたちをつなぎ人々が支え合える街を創ること。この考えに基づき地域の広場アプリ「ピアッザ」を提供するとともに、コミュニティ施設の運営に携わっている
- 連携先の行政機関東京都区部や横浜市など、現段階での協定先は約50の自治体に及ぶ
- これまで地域情報の発信についてはチラシなど、アナログ的な手法に依存していた。しかしDX化が進めば情報のやり取りが効率的に行え、地域コミュニティを可視化でき施策も検証できる―。そう判断した自治体が、デジタル・リアルのハイブリッド型事業を展開するピアッザの導入を随時進めており、現段階での協定先は約50の自治体に及ぶ。とくに目立つのは東京都区部や横浜市だ。
- 行政機関側の課題COVID-19で地域内交流が難しくなっている
- 横浜市都筑区は横浜市内でもっとも平均年齢が若く、子育て世帯が多く暮らしている。子育てには住民同士の情報交流や助け合いが不可欠であるが、COVID-19で地域内交流が難しくなったため、ピアッザの導入を決めた。西東京市は地域コミュニティの活性化や行政情報発信の強化を目的としている。
導入したプロダクト
ローカルなコミュニケーションを交わせる地域SNS
ピアッザの特徴は「極めてローカルなコミュニケーションを交わせるツール」(矢野晃平代表取締役CEO)。「サンダルが落ちていました」といった情報提供や「子供を預けてもらえませんか」といった相談、不要品の譲り合いなどがピアッザを介して行われている。COVID-19によって苦戦していた店舗を立ち直らす役割も果たした。例えば1日当たりの売り上げが1万円程度まで落ち込んでいた創業100周年のすし屋は、テイクアウト情報を流した結果、40万~50万円を計上するようになり息を吹き返した。
導入以後の感想/結果
子育て世帯を中心に徐々に浸透。東京都中央区では30〜40代世帯の約3割が利用
特に人気があるのは「教えて」という機能。例えば病気にかかった時、「いい病院はないか」と尋ねると第三者が情報を提供してくれる仕組みで、返答率は実に85%に達した。子育て世帯からの信頼感は厚く、東京都中央区の場合、30~40代世帯の約3割が利用するなど、じわじわとサービスが浸透しつつある。また、DXに依存するだけではなく地域住民をコミュニティデザイナーとして登用し、コミュニティ施設の運営に携わっている点も、PIAZZAが提供しているサービスの特徴だ。
今後の展望/課題
有事を想定し、平時にサービスを活用することで地域コミュニティ力を強化
地域コミュニティを支える町内会や自治会などへの参加率は逓減している。こうした状況を放置したままでは、地震をはじめとした大規模災害が発生した際に避難対策などで大きな支障をきたす恐れがある。安全・安心な街づくりを進めていくためにも、矢野CEOは「有事を想定し、当社が提供するようなサービスを平時に活用することで、地域コミュニティのすそ野を広げておくことは喫緊の課題」と指摘する。