兵庫県たつの市などと連携、テレビを活用した動画・写真共有サービスで地域コミュニティを強化 チカク
2022.07.12
- 健康・福祉
- 安全・安心なまちづくり
- サービス
- プロダクト開発
- 官公庁と連携したスタートアップ
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テレビを活用した
動画・写真共有サービスを提供する
チカク(東京都渋谷区)
- 連携先の行政機関
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大阪府泉大津市
兵庫県たつの市
- 行政機関側の課題
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COVID-19の感染拡大による
高齢者とのコミュニケーション不足
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大によって対面でのコミュニケーションが難しくなり、地域住民とのつながりの機会が急速に失われていった。とくにインターネットを利用しない高齢者に向け、行政情報を確実に届けるとともに、健康維持のためにも外出を促すことは喫緊の課題だ。こうした現状を踏まえ兵庫県たつの市などは、テレビを活用した動画・写真共有サービスを提供するチカクと連携し、本格的な検証に乗り出した。
- 官公庁と連携したスタートアップテレビを活用した動画・写真共有サービスを提供する チカク(東京都渋谷区)
- チカクが開発し、提供しているサービスは「まごチャンネル」。スマートフォンアプリで撮影した動画や写真を実家のテレビに直接送信するため、インターネット環境やスマートフォンがないシニア世代でも視聴できる点が特徴だ。国立長寿医療研究センターとの共同研究では、まごチャンネルの利用によって高齢者の孤独感が減少傾向にあることが明らかとなっている。
- 連携先の行政機関大阪府泉大津市と兵庫県たつの市
- 泉大津市では2020年7月から、まごチャンネルを活用した情報伝達によって行動変容が起きるのか、といった検証を行った。たつの市では22年8月から、高齢者の外出促進と熱中症対策の効果を検証する実証実験を行った。
- 行政機関側の課題COVID-19の感染拡大による高齢者とのコミュニケーション不足
- 泉大津市は、COVID-19の感染拡大により高齢者の外出が難しくなったことで、自治体とのコミュニケーション不足を深刻視。特に、ITが苦手な高齢者にどのようにしたら迅速かつ適切な行政情報を届けられるかが重点課題だった。また、地域での会合や運動する場も減り、心身ともに衰弱していくフレイルなどの健康二次被害が懸念された。たつの市も同様の課題を抱えていた。
導入したプロダクト
「まごチャンネル」と「まごチャンネル with SECOM」
泉大津市では「まごチャンネル」を活用して、ITが苦手な高齢者に必要な行政情報を届け、行動変容を起こすことができるかどうかを検証した。さらに、たつの市では、セコムと協働で開発し、離れて暮らす親の起床や就寝、熱中症危険度のお知らせを受け取ることを可能にした「まごチャンネル with SECOM」を活用し、離れた家族の見守りに加え、外出を促すための地域情報を配信した。
導入以後の感想/結果
10人中9人が、配信動画を視聴しながら体操
泉大津市では体操の動画を配信したところ、10人中9人が毎回体操を行うなど、一定の行動変容がみられた。たつの市では、「数十年の居住歴だが、行ったことがない公園が動画で紹介され、気になって足を運んだ」というケースもあった。また、環境センサーの通知を見た家族からの指摘で、クーラーを購入し水分補給を意識するようになった高齢者がいた。同市では今年も第2期実証実験を行う。
今後の展望/課題
大画面による情報提供のニーズは高まる見通し
自治体は総じて、地域内のつながりが希薄化しているほか、民生委員など見守りの担い手も高齢化と人手不足が進んでおり、ITを活用して高齢者に対し適切な情報を効率的に届けていくことが一段と重要になってくる。スマホの普及率は高くなっているものの、高齢者にとって画面が小さいのはネック。それだけに、テレビの大画面を活用したチカクのサービスに対するニーズは高まりそうだ。また、テレビ電話機能の開発も進めており、その活用も期待される。